代償と結果の法則ブログ

こんにちは。
報道された情報や、出版された本の内容をもとに、自分の考察を交え、未来予測や、提言を行うブログです。

2017年5月 TBS系ドラマ 「リバース」について

2017年5月 TBS系ドラマ 「リバース」について。というタイトル名にしましたが、実は、私、5月12日の段階にあっても、このドラマを一度も観ておりません。
しかし、原作の湊 かなえ氏の「リバース」は、読了致しました。
何故、このタイトル名にしたかと言えば、現在地上波で放送中だからであります。
また、この原作本を読んで、一寸考察してみたいと思ったからでした。
ネット上では、色々と、「原作者が何故、このタイトルにしたか?」を論じているサイトもあるようで、ちらりと拝見したところ、あぁ、こんなに色々と、解説されているなら、自分のブログに書くのを止めようかな?と思ったのですが、(2サイト程しか、観ていませんが)自分の、本を読んだ感想と、少し違ったので、それなら・・。と思った次第でした。
今から、この原作本を読もうと考えていらっしゃる方や、ドラマを観ようと思っていらっしゃる方は、(出来るだけ、ネタバレをしない様に書こうとは思うものの)やはり、先入観を与えてしまうと思われますし、本質的な考察をしないと書く意味がないので、やはりどうしても、ネタバレをしてしまいます。
故に、内容を知りたくない方は、本を読み終わってから、若しくは、ドラマが終了してから、このブログをご覧頂くのがよろしかろうと存じます。


先ほど、私が拝見した、他サイトでの、このドラマ・本の解説と、私の感想とは、若干違うと申しましたが、たった2サイトしか覗いておりませんので、以下私が記す感想と同様の内容が記されているサイトが調べればあるかも知れません。
と申しますのは、自分で、自分の感想を顧みるに、特別に突飛な解釈ではないと思われるため、私のような感想をお持ちになられる方もいらっしゃるだろうなと考えたからです。
しかし、それでも尚、書こうと思ったのは、原作者の意図を自分なりに整理し、咀嚼してみたいと思ったからでした。
また、このサスペンスの鍵となる、広沢なる人物が亡くなった理由が、私も持つ、身体上の特徴であったという共通点が、書く気持ちを後押ししたのでした。


少し、ドラマの情報をネット上で拝見するに、どうも、原作では描かれていないシーンがあるようで、ドラマと、原作本では解釈が違ってくるような気がします。
よって、私は、今後ドラマを観るかも知れませんが、このブログで書く、私なりの感想は、原作本だけを拝読した感想をもとに書いて参ります。


前振りは、ここまでで、やっと本筋に入って行きたく思います。
本のあらすじをだらだらと書くのは、疲れるので、今回は、超要約し、箇条書き形式で、私が重要だと思う点だけを列挙致します。


・「広沢」と「深瀬」は、大学の4回のゼミで初めて出会い、意気投合する。
・「広沢」も「深瀬」も、お互い特別な存在、親友だと感じていた。
・「広沢」は酒を飲むと、眠たくなる体質。
・「深瀬」は酒を飲むと、体が赤い斑模様になり、痒くなる体質。
・「広沢」は、「蕎麦アレルギー」の持ち主。
・深瀬は、広沢とは親友だったが、広沢の蕎麦アレルギーは、聞かされていなかった。
・「広沢」の行動は、誰かと意見の衝突があると、いつも自分が折れる方を選んだ。それは、自分が自己犠牲することにより、平和裏に物事が収束すると考え、自分の欲望よりも、「平和」「穏健」の世界を重視する優しく、神経こまやかな性格であった。
・「広沢」はある日、車の免許取得3ヶ月程度の身で、悪天候の中、狭い山道の悪路を、友人達に半強制的に酒を飲まされた中、「村井」という友人を車で迎えに行かされた。
・「深瀬」は、「広沢」が酒を飲むと眠たくなるのを知っていた為、「村井」を迎えにいく「広沢」に、サーモカップに入れた珈琲(蕎麦の蜂蜜入り)を親切心で持たせた。
・「深瀬」は、道の駅で、ラベルに「蕎麦蜂蜜」という記載のない、蜂蜜を購入した。
よって、「深瀬」は、その蜂蜜が蕎麦原料ということを知らない。


・「広沢」は、「村井」を迎えに行く道中、「深瀬」の親切心から受け取った「蕎麦蜂蜜」入りの珈琲を車中で飲み、蕎麦アレルギーを発生させて、谷底へ転落、死亡する。
・「深瀬」は、「広沢」の死亡後、「広沢」の人となりを調べ始めるが、その過程で、「広沢」の交通事故原因を作ったのが自分であったという、まさかの事実に行き着く。


そこで、原作は、終了となっています。



辞典にとると、英語の「リバース」(reverse)の意味は、
1 逆にすること。反対方向へ動かすこと。
2 テープレコーダーで、往復録音、また再生の逆走行のこと。例「テープが自動的にリバースする」
3 俗に、飲食したものを吐くこと。嘔吐(おうと)すること。とあり、


リバース(rebirth)の意味は、
再生、復活を意味する。とあります。


普通に考えれば、
この本の第一の主眼は、事故の日、「深瀬」も他の仲間と一緒になって、酒を飲んでいる「広沢」に「村井」を迎えにいかせることに、同意・加担した罪はあるものの、良かれと思って渡した珈琲が、逆に「広沢」に不幸を招く結果を生んだことから、
良かれと思ってしたことでも、結果は逆に働くことがある。という、人生訓がある。
次に、直接的に、事故の原因となった蕎麦蜂蜜入りの珈琲を「広沢」に渡した「深瀬」であるが、それは、何度も記述するように、「深瀬」は「広沢」が蕎麦アレルギーの持ち主であると知らなかったばかりか、道の駅で購入した蜂蜜の原料が、蕎麦由来であることも、(ラベルに記載が無い為)知らなかった。ではこの場合、「深瀬」の罪は、他の友人達の罪(「広沢」が酒を飲んでいるのを知っているのに、「村井」を迎えに行かせた罪)と同じ重さの罪なのか、それ以上なのかという問題だ。
原作上の法律的な問題は、「広沢」は谷底へ転落し、車ごと炎上した為、警察発表では、「広沢」の体内からアルコールが検出されたという発表がなされていない上、「深瀬」ら、友人達は、「広沢」が酒を飲んでいたという事実を公にしない約束をした(箝口令を敷いた)ので、彼らは咎められていない。
「広沢」の彼女だった越智女史が、「人殺し」という手紙や張り紙をしたが、今、論じているのは、法律上は、咎められていないという話である。


では、何を考察するのかと言えば、「深瀬」の罪は、どの程度か、何が問題だったのかということである。
「深瀬」の立場に立って見れば、知らなかったとはいえ、自分の渡した珈琲が原因で、友人を死なせた事実に変わりはないので、自責の念を持つだろうが、余程鋭い者でなければ、「広沢」が蕎麦アレルギーの持ち主であるとは、わからない。(原作本の中では、「深瀬」ら友人達が蕎麦屋で昼食を摂る中、「広沢」一人、カレーを食べるべく、他のレストランに入る。「広沢」は、友人達に気を遣わせてはいけないと思い、自身が蕎麦アレルギーだと告白せず、単にカレーが好きだからという理由を主張した)また、珈琲に入れた蜂蜜も、「深瀬」は蕎麦由来の物とはわからなかったし、その日以前に、「広沢」の実家から送られてきた、みかんの蜂蜜を、「深瀬」が淹れた珈琲に入れて、「広沢」も一緒に飲んでいたので、「広沢」が飲む珈琲に蜂蜜を入れることに、何ら不自然さは無い。
で、あれば、「深瀬」の罪は、他の友人達と同じ、「酒を飲んでいる者に、車の運転をさせた」という罪のみということにならないだろうか。

勿論、アレルギーを発生させていなくても、悪天候の中、狭い山道を夜間、免許取り立ての者が酒を飲んで運転していたら、重大な事故を起こしていた可能性が高いといえる。
それ故、「自責の念」「贖罪意識」を持つ必要性を、無用だというつもりはない。


では、原作者の「湊 かなえ」氏は、この本で何が言いたかったのだろうか。

私は、シンプルに、「酒を飲んで運転する本人」は、勿論のこと、それを黙認したり、強く制止しない者は、「人殺し」と(実際に人が死ななくとも、人を撥ねる可能性や、蓋然性があることから、)そう呼ばれても仕方がないと認識するべきだと、言いたかったのではないだろうか。


作中、残念ながら交通事故で死亡した「広沢」の人柄・性格は、優しく、正義感に溢れ、思いやりのある人物に描かれている。そんな完璧といえる人物でも、一点、人に気を遣いすぎるという点があった。それ故、普段は、酒を飲まないし、飲んでも絶対に運転をしない人物が、仲間の要請から、自ら、(酒を飲んでいるのに)車を使って友人を迎えに行くと言ってしまう。


これを弱さと表現すべきなのか、優しさと言うべきか。しかし、恐らく、「湊 かなえ」曰く、いくら普段、優しく、皆に気を遣い、正義感のある素晴らしい人物でも、一度ルール違反(ルール違反の中でも、飲酒運転は、包丁を街中で盲滅法に投げているような状態とも言える)を犯すと、人生が リバース(反転)する と警鐘を鳴らしているのではないか。 


原作本では、(まだ「深瀬」が自ら渡した蕎麦蜂蜜が原因で、「広沢」が死亡した可能性が高いとの認識に至る前に、)広沢の両親に、「広沢」が酒を飲んでいたことや、仲間の要請で、「村井」を迎えに行って事故を起こしたことを打ち明けようと思うとの深瀬の発言の描写があるが、その後、蕎麦アレルギーの事実と、蕎麦蜂蜜の件を知った後、「深瀬」は、どのような行動に出るのだろうか。
越智氏に、この件を告白するのか?
広沢の両親にも告白するのか?
私は、蜂蜜の件は、「深瀬」に罪は無いと考えるので、越智氏に話しをしても良いと思う。広沢の両親には、言いにくいだろうが、「蜂蜜」の件は、事故の直接の原因の可能性が高い上、(話したとしても、「広沢」の名誉を傷つけないため)言うべきだと思う。



ただ、仮に、広沢の両親に「蜂蜜」の件を告白をしたとしても、「広沢」はもう帰ってはこない。その上、「深瀬」が広沢の両親から、過失致死で、損害賠償請求をされるかも知れないが。

また、私が思う、「湊 かなえ」氏の考えと、広沢の両親の考えが同じであったならば、
(蕎麦入り蜂蜜の件は、話すべきだと思うが、)「飲酒運転」の件は、(両親から見て、可愛い我が子なれど、)バカなことをして死んでしまったと、ずっと思うことになるので、言わない方が、広沢の両親のためのような気がする。 



この原作本からの教訓
飲酒運転は絶対にしない。上司の命令でも、彼女のお願いでも、絶対にしない。
・飲酒運転をしようとしている者がいたら、全力で止める。
・自分で作ったり、自分で購入したものでない食物(人から貰った食物)は、中身を良く確かめる。原材料は、何かを聞く。
・信用している人物には、自分のアレルギー食物を伝えておく。
・人に食べ物を渡す時には、どんな原材料を使ったのか、細かく伝える。それを面倒だと思うなら、食べ物を渡さないか、原材料が明記しているもののみを渡す。
「飲酒運転」は、どんなに幸せな人生を歩んでいても、一度の過ちで、本人のみならず、家族や、第三者も一気に、リバース(裏返し)になることを思い知る。