代償と結果の法則ブログ

こんにちは。
報道された情報や、出版された本の内容をもとに、自分の考察を交え、未来予測や、提言を行うブログです。

日本の報道の予知・分析能力と、組織改善  2017年4月

今回は、(4月6日のアメリカのトランプ政権による、シリアのアサド政権に対する初めての軍事攻撃が行われるまでは)アメリカの北朝鮮に対しての先制攻撃(相手が攻撃を仕掛ける前に攻撃すること)の可能性と、その理由などについて論じようと思っていた。
しかし、4月6日夜に、突然、アメリカ軍が、シリアのアサド政権の空軍基地を約50発の巡航ミサイルで攻撃した。6年前にシリア内戦が始まって以来、米軍が直接アサド政権の軍事施設を攻撃するのはこれが初めてである。


皆さんは、このNEWSを始めて聞いた時、どのような感想を持たれただろうか?
私は、「まず、エッ?そんな話、聞いてないけど。って、思いました。」
勿論、この攻撃があってから、初めての報道なので、その攻撃があった事実を私が知るのが初めてなのは当り前であるのですが、私が述べたいのは、その、「アメリカ軍がシリア・アサド政権に対する軍事行動があるかも知れない」という予兆報道を、見聞きしていなかった。ということである。
単に、私が(実際は大手メディアで予兆報道があったのに、)それを見聞きしていかなったのなら、それは私個人の情報取得の問題だ。


しかし、粒さには確認していないが、今回の攻撃の第一報が報道される前には、各報道テレビ番組などで、このアメリカ軍によるシリア攻撃の可能性を論じる話は、ほぼ無かったと思われる。
地政学上、日本は、中東とは、遠く離れており、NEWSの優先順位も高位に位置付けられていないようだが(つまらない韓国の話題など、止めてほしい)、果たして、このNEWSの優先順位は正しいのか?(正しい訳が無い)。
私は、エネルギーに関する動向の観点からも、中東の情勢は、韓国などのNEWSより、百倍重要であると確信している。


以下、トランプ大統領の、この攻撃の決断に至る経緯に関する記事をリンク転写するが、アサド政権による空爆直後の映像を見て、国家安全保障チームとの協議等を経て空爆攻撃をする決定をしたとの記述があることからも、突然の決定だったことは、理解できる。



しかし、「報道」とは、事実の告知を行うことだけなのだろうか。
(推測・推論は含まれないのかという問題提起である)


私の記憶では、数十年前、「ニュースステーション」で久米宏がキャスターをしていた。
久米宏が登場するまでは、アナウンサーは、事実のみを報道し、アナウンサー個人の感想は話さず、NEWSの解説は、解説者が行っていた。(と個人的には思う)。
しかし、久米氏は画期的?に、NEWSの後、一言コメントを発するようになった。
私自身も若い頃、一つのNEWSの報道の後、久米が何を話すのか、関心を持っていた。
ただその際も、あくまで、今久米氏が話しをしている内容は、公共のコンセンサスを得ているものではなくて、久米氏個人の意見・感想を述べているんだなという認識があった。
そして、久米宏は、後々、番組を引き継ぐ古舘伊知郎とは違い、大筋において、まともな常識的な、よくよく考えたコメントを発していたように記憶している。


今は、解説者も存在するが、その意識の線引きが曖昧となり、キャスターやMCまでもが、軽々に自分の意見(個人の意見)を開帳するようになった。
森本敏 元防衛大臣が語っていたが、討論番組でタブーを犯しているMCは、田原総一郎だと言っていた。森本氏は、田原氏を非難している訳ではなく、本来、討論番組において司会者は、場を円滑に導き、テーマに沿った議論が行われるよう補助的な存在であるべきで、自らが、断定的な物言いを、訳知り顔で話すものじゃあない。
しかし、朝生の場合は、出演者の方が、田原氏が司会の枠を超えて個人の意見をグイグイと話す番組であることと、田原氏の特異なキャラクターを許容して出演しているので、珍しいが、そんな番組があっても良いんじゃあないかと。そんな田原氏が嫌な出演者は出演しなければ良いし、そんな田原氏や番組が嫌な視聴者は、番組を観なければ良いだけのことだと話す。


ただ、私は、思想的に田原氏を快く思っていないが、(恐らく、田原氏の本質や本音を理解していないせいだと思うが)その、個人的感情とは別に、最近の朝生を観ていて、田原氏が時代についていけていないなと感じる。年齢の割には、田原氏は、博学で、良く勉強もされていると思うが。まず、番組の対象年齢は何歳~何歳なのか。番組に、どのような意図があるのか、知らないが、若い学生のような者を何人もスタジオで観覧させている。
もし、これからの日本を背負う若者を応援・教育しようという目的の番組なら、田原氏の年齢は高過ぎないか。何故なら、モノを教えるにあたっては、教えられる方の目線に立つ必要があるからだ。田原氏の年齢では、田原氏と同じような年齢の視聴者に共感を与える番組を作ることは出来るかも知れないが、孫のような若者世代の感覚など、わかれと言うほうが無理であろう。


ワイドショーで、花見客にインタビューをして、4月からの新入社員とどうコミュニケーションを図って、教育していきますか?と、50代以上の男性に質問していたレポーターがいたけれど、私の感覚から言うと愚問である。
何故なら、本来、50代以上の者が新入社員と話す機会も正当な理由も殆ど無いはずだ。
別世界なのだから。何も知らないヒヨコは、まず、主任や、係長と話し、教育してもらうものだし、そうすべきなのである。
現役の総理大臣に対して、「安倍さん」などと、話すコメンテーター等が跋扈するから、こんな無思慮な質問が発せられる。


話しを戻すと、もし、「報道」が事実の告知だけで、「予測」「予想」「推測」「推論」を流さないのであれば、それは、それで良いと思う。
「予測」「予想」「推測」「推論」の担当は、評論家が文筆したり、専門家が解説したりして、別担当が行えば良いと思う。
ただ、発言するに当たっては、それ相応の調査の上、確度の高い情報を流してもらいたいと思う。
翻って、現状のマスコミは、誰も彼もが、軽々に自分の意見・主張を話す。


ここからが、本題である。
何故、今回の「米軍のシリア・アサド政権に対する軍事攻撃」の「予測」「推測」が行われなかったのか。何故、マスコミが少しでも、その可能性について言及しなかったのか。である。私は、ここに「隠ぺい」はないと思っている。つまり、この質問の「答え」は、
マスコミ・マスメディアに、この軍事攻撃の「予測能力」がなかった。と断じるのである。


一部報道では、上記リンク記事のように、トランプ大統領が、アサド政権による空爆直後の映像を見て心を揺さぶられたとある。だから突然の攻撃だったという言い訳ができる。


しかし、この記事の通りであれば、トランプ大統領は短絡的・直情的だという批判も出来るかも知れないが、なんとピュアな精神の持ち主であると言えはしないか。
昨年の大統領選挙以来、メキシコに壁を築くとか、オバマケアの廃止とか、「トランプ大統領は、人でなし」のようなイメージの報道を我々は受けてきたのではないか。
では、トランプ大統領の人でなしなのか、ピュアな心の持ち主なのか、どちらなのか?


4月5日正午過ぎ、トランプ大統領は化学兵器使用について、記者団の前で初めて口を開いた。「罪のない子供や赤ん坊を化学兵器で殺すような行為は、レッドライン(越えてはならない一線)をいくつも越えている」。それまでアサド政権を追認する姿勢をみせていたトランプ大統領は「考えは大きく変わった」と語気を強めた。とある。


ご存知の通り、シリアのアサド政権を、ロシアのプーチン大統領は支援をしている。
そして、昨年の大統領選挙以来、トランプ大統領とプーチン大統領は、報道を見る限りにおいて、良い関係を築きそうな感じであった。
しかし、今回の米軍のアサド政権への軍事攻撃によって、米ロの関係は悪化する可能性を孕むことになった。また、軍事攻撃ともなれば、精強を誇る米軍に危険が伴うのは当り前であるし、今回の攻撃を受けたシリア人が、報復として、米国内でテロを起こすかも知れない。それほどのリスクがあるにも関わらず、トランプ大統領が決断したのは何故なのか。トランプ大統領は、就任演説でも、「アメリカ ファースト」を唱え、アメリカ第一主義を掲げた。トランプ大統領でなくても、一国の指導者がその国の国益を第一に考えることは、当たり前のことである。オバマ前米国大統領が宣言した、世界の警察官を辞める。という路線を、この点に関しては引き継ぎ、トランプ大統領は、「アメリカ ファースト」を掲げた。にも拘わらず、国益を損なうかもしれない判断を今回、行った。


トランプ大統領の動機を考えてみたいと思う。
果たして、本当に、今回の攻撃は、アメリカの国益にならないのか?
つまり、「今回の米軍の攻撃の前と後では」米国にとって、シリアの脅威に変動はあるか?つまり、攻撃前は、脅威が大で、攻撃したことによって、脅威は減ったのかということだ。アサド政権が、化学兵器を持っていることは、報道されているが、今回の攻撃は
1回きりという報道もなされているし、今回の攻撃だけで、全てのシリア国内にある化学兵器が取り払われたということもないだろう。
また、今回の攻撃で、米国が特別な権益を得た訳でもないし、米国民を救出したという話でもない。前述したように、シリア人による、アメリカへのテロの可能性が増しただけかも知れない。ということは、国益の観点では利益が無い可能性が高い?

それなのに、何故攻撃したのか。本当に、純粋に人道上の理由から、レッドラインを超えたからというのが理由だとしたら、皆さんは、どう感じますか。
とりわけ、緻密に、合理的に政治状況を判断するプーチン大統領は、どう思ったのだろうか。(私のプーチン大統領評は、元KGBであり、目的の為なら政敵も暗殺する非情な切れ者だという認識)
そんな私のイメージ通り(数冊かの本を読んだ上でのイメージであるが)のプーチン大統領であった場合、トランプ大統領が罪のない子供や赤ん坊を化学兵器で殺すような行為をしたから、他の情勢を無視して、米軍を動かしたのだと知ったら、どう思うだろうか。
私がプーチン大統領だったとしたら、何だコイツ。マジか?普通なら、まず、人道上のためという動機を信じず、他の目的があるはずと思い、それを探すだろう。
考えられるのは、中国と北朝鮮に対しての警告である。
しかし、中国に対しては、まだ複数のオプション(対応方法)もあるし、中国側の判断もアメリカと一戦交えるつもりは今のところ、無いはずである。
北朝鮮に対しては、最早、話し合いの段階は済んでいるとのことなので、今更、警告もないものである。(この話は、次回に)。であれば、他の目的も無いのに、人道上、攻撃をしたのなら、私が、プーチン大統領ならば、トランプ大統領を怖ろしく思うだろう。
何故なら、同じ思考回路、行動回路の者ならば、御しようもあるけれど、自分とは違うタイプというのは、理解しずらいし、突発的な行動が読めないので、嫌なものである。


さて、再度、本題に戻りますが、マスコミ・マスメディアに、この軍事攻撃の「予測能力」がなかった。持ち得ていない。という点であります。
急な米軍の攻撃であったからという言い訳は、プロなのだから、よしましょう。


理由(原因)
①そもそも、トランプ大統領の性格分析・行動原理分析が甘い。
トランプ大統領が何が好きで、何が嫌いで、誰が好きで誰が嫌いで、どんな思想・信条を持ち、誰を尊敬し、何に涙を流し、どのような時に、どんな決断をする人物なのかという、調査・分析が足らな過ぎる。自分の目と耳と足で稼いだ取材をせず、どこからかの、伝聞をそのまま記事にする楽で、誰でも出来る仕事をするから、トランプ大統領の人物像が見えないし、当然、彼が何を考えているかもわからないし、どんな材料をもたらされた時に、どう判断するかの、予測も出来ないということである。


②シリア内戦自体の突っ込んだ、取材が少ないのではないか。
アサド政権側は、過去に何度も化学兵器を使っていたようであるが、その様子・取材・情報が少なかったのではないか。
もし、悲惨な状況だということが、より多くの人や指導者が知っていれば、トランプ大統領でなくても、何らかの介入を(平和的介入も含めて)行われていたかも知れないし、世界の警察官役を買って出ていたかも知れない。
なにも、危険なシリアに取材に行けと言っている訳ではない。
情報取得の方法は、例えば、周辺の病院から得たり、現地の公共電波を受信したりするなど、セーフティゾーンからの取材は、まだまだ出来るのではないか。


左翼マスコミは、戦争が怖い、二度と戦争を繰り返してはならないと、主張するのであれば、実際に今現在、戦争が行われている地域の情報を、日本国民にもっと伝えて、戦争をすると、こんなに悲惨になりますよ。と周知するほうが、反戦争・平和主義の促進・貢献に資するのではないか。
それとも、実際の戦争を伝えると、闘う両国に、それぞれの大義や正義が如実に浮き彫りになる(両国に戦う理由がある)から、都合が悪いのか?
口先だけの、無責任な消極的平和主義で、国民を馬鹿にするのは、止めるべき。
平和とは、戦争の対極にあるのではなく、年代上、戦争と戦争の中間の時期に位置したり、一時休戦状態の期間を「平和」と呼ぶ概念があることも知るべき。


③マスコミ・マスメディアに対しての批判が少ない・届かないから、いつまでたっても、現状変更・改革されない。スポンサーや、広告会社(電通)の顔色ばかり伺って、本来のジャーナリストの本分を全うしないから、細切れの情報から、未来予測する力が欠如している。
もっと言えば、視聴者は、今日こんな話・事件がありましたという話やNEWSじゃなく、少なくとも、私個人は、明日こうなるでしょう。来月こんなNEWSがありそうです。というような、現実や過去を踏まえた上での、未来予測に重きを置いているし、そういう報道をして頂きたいと思う。